2021年公開映画ランキング

2021年9月8日更新

ーーー2021年公開映画ランキングーーー

鑑賞するごとにランキングを更新していきます。なお、劇場での公開作に加えて、Netflix等の配信作品も含みます。
個人的な好みを多分に反映したランキングです。軽くネタバレを含むことがありますが、核心的な内容は伏せます。

1位:ザ・スーサイド・スクワッド ”極”悪党、集結(監督/ジェームズ・ガン)


○政府職員のアマンダ・ウォラー(英語版)は、減刑と引き換えに「スターフィッシュ計画」として知られる秘密の実験を行っているナチス時代の研究所ヨトゥンヘイムを破壊する任務をリック・フラッグ大佐(英語版)と ロバート・デュボア / ブラッドスポート(英語版)がそれぞれ率いるベルレーブ刑務所の受刑者たちで構成された2つのタスクフォースXチームに与える。2つの部隊は南米の島国コルト・マルテーゼに送られるが、フラッグのチームのメンバーであるブラックガードが自らのチームの情報をマルテーゼの軍に流しており、上陸早々軍隊の待ち伏せにあってしまう。フラッグのチームは裏切ったブラックガード含め、ウィーゼル、モンガル、TDK、ジャベリン、キャプテンブーメラン、サヴァントと殆どの隊員が死亡し、ハーレイ・クインとフラッグはそれぞれ別に捕縛されてしまう。フラッグのチームに攻撃が集中している間に攻撃を受けることなく上陸を果たしたブラッドスポートのチーム、ラットキャッチャー2、ピースメイカー、ポルカドットマン、キングシャークは反政府組織に保護されていたフラッグと合流を果たし、反政府組織のメンバーであるソル・ソリア達の協力を得てスターフィッシュ計画の指揮を執っているシンカーの拉致とハーレイの奪還を行うべく、コルト・マルテーゼの街に侵入する。
○IMAX字幕と通常版吹き替えで鑑賞。ここまで露悪的な、悪い冗談に溢れたアメコミ映画を観たことがない。「デッドプール」が真面目に見えてしまうくらい。「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」では、マーベル映画としての品格・物語上の流れを保ちながらも「おふざけ」をしていたジェームズ・ガンが、完全に「悪ふざけ」して作った映画。にもかかわらず、とてつもないカタルシスがラストに発生する。弱者は誰なのか。弱者は立ち向かえないのか。アフガニスタンのタリバン政権が話題になっているいま、まるで状況が重なって見える。ヒーロー映画かつモンスター映画である本作だが、社会的なメッセージまで織り込みすみという大傑作。だってだって、イドリス・エルバ演じるブラッドスポートは、最後頭を抱えて倒れているだけなんだぜ!?主人公が!なのに涙の結末って、凄すぎる。

2位:ブータン 山の教室(監督/パオ・チョニン・ドルジ 脚本/パオ・チョニン・ドルジ)

○若手教師のウゲンは、ある日教官に呼び出されブータンの秘境、ルナナにある学校に行くよう告げられる。「オーストラリアに行き、ミュージシャンになりたい」という夢を抱きながらも、渋々ルナナ村に行くことに。1週間以上かけ辿りついたその地には、「勉強したい」と真っすぐな瞳で彼の到着を待つ子どもたちがいた。ある子どもは「先生は未来に触れることができるから、将来は先生になることが夢」と口にする。慣れない土地での生活に不安を拭えなかったウゲンだったが、村の人々と過ごすうちに自分の居場所を見つけていく。
○今年最も衝撃を受けた一作です。アクション大作でもなければ、サスペンス要素やどんでん返しがあるわけでもない。恋愛要素すらない。にも関わらず、映像が脳裏に焼き付いています。ルナナ村は、実在するブータン僻地の村。電気が通じていないため、太陽光発電を持参・駆使して撮影したとのこと。実際にルナナ村で暮らす村民を演者として起用している。その人々の存在感が本当に素晴らしい。特に少女のペム・ザム。佇まい、表情、セリフの抑揚……全てがパーフェクト。これが演技初経験どころか、「映画」という媒体すら知らなかったという。信じられない……。ブータンの首都ティンプーからルナナ村に行くまで、なんと1週間。その先には絶景が待ち受ける。余談ですが、ノンフィクション作家・高野秀行の『未来国家ブータン』でも、ルナナ村という名前が何度か出てきます(僻地の場所として)。雄大な自然、そこ生きる野生動物たちからエネルギーを貰って暮らしている人々がルナナ村にはいます。ブータンに自動車が走っていなかったのは昔の話。いまでは一般市民が普通に車を所持し、スマートフィンを持ち歩きます。主人公のウゲンも、そんな文明の機器から逃れられない一人です。彼は常に耳にイヤフォンをつけています。外部からの音(世界)を遮断するために。そして気持ちは、オーストラリアへの永続移住に向かっている。そんな彼が出会った、根源的な自然と、根源的な人々の営み。彼の中に起きる変化とはーー。信じられないような自然風景を創意工夫で撮影し、演者のほぼ全てが素人…奇跡のような映画だと思います。ウゲンの案内人の彼もまた非常に良い味を出しています。ラストシーンが淡白、アッサリしているのも好きで、普通だったらここでウゲンとペン・ザムの別れを情緒たっぷりに描くところですが、それをしないのは、ウゲンは二度と戻ってこないと、ウゲンも、村民もわかっているからです。ブータンでは輪廻転生が信じられています。出会いと別れはつきものなのです。

3位:ジェントルメン(監督/ガイ・リッチー 脚本/ガイ・リッチー)


○ロンドンに緊急事態発生。長年にわたる大麻の大量栽培/販売で財を成したアメリカ人ミッキーが、ビジネスを売却し、引退するというウワサに暗黒街に激震が走った。その利権総額なんと500億円。目の色変えた強欲なユダヤ人大富豪、ゴシップ紙の編集長、ゲスな私立探偵、チャイニーズ&ロシアン・マフィア、さらには下町のチーマーまでもが跡目争いに参戦。一筋縄ではいかないジェントルメン=一流のワルたちによるダーティでスリリングな駆け引きが始まった―!
○ガイ・リッチーは、低予算でアイデア勝負をするケイパームービー路線と、いくつかの失敗作を経てキャリア後期から始まった大作路線(「アラジン」の監督は驚きました)の二通りがあると思いますが、今作は『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』『スナッチ』を彷彿とさせる、原点回帰的作品。でありながら、キャリアの積み重ねにより、ケイパームービーでありながらも切り取り方に監督の変化を感じさせる作品です。初期二作では持たざる者たちーーそれも若い人物が主人公でしたがーー「ジェントルメン」に出てくる人物は、ほとんどが中年で、中間管理職的な役割を果たしている人々です。それが味わい深い。面白さは失われておらず、ケレン味あふれる演出は健在。怒涛のラスト、点と点が線を結ぶ快感を味わうことができます。いかにもガイ・リッチーらしい軽さを嫌う人はいそうですが、私は大好きな一作です。コリン・ファレルここで出てくるか!という嬉しいシーンがあります。エンタメのツボをおさえた一作です。

4位:花束みたいな恋をした(監督/土井裕泰 脚本/坂元裕二)


○東京・京王線の明大前駅で終電を逃したことから偶然に出会った大学生の山音麦<やまねむぎ>(菅田将暉)と八谷絹<はちやきぬ>(有村架純)。 好きな音楽や映画がほとんど同じで、あっという間に恋に落ちた麦と絹は、大学を卒業してフリーターをしながら同棲を始める。拾った猫に二人で名前をつけて、渋谷パルコが閉店してもスマスマが最終回を迎えても、日々の現状維持を目標に二人は就職活動を続けるが──。
○有村架純と菅田将暉、美男美女の恋愛模様を見て、誰が共感するんだ? そんな鬱屈した視聴者の不安を吹き飛ばすほどの圧倒的な共感力を持った一作。誰もが「これは自分だ」と思いながら観たと思います。それは言いすぎだろう…と思うだろでしょうが、いや、絶対に一箇所以上は自分を重ねているはず。二人の圧倒的演技力と、サブカルの小ネタの数々が、彼女ら彼らを等身大に見せることに成功しています。気になったのは一点だけ。冒頭に、別れたあとの二人が出てきます。だいぶ偏屈に描かれていますが、もともとあんな感じから、ああは成長しないのでは。結構露悪的に描かれていて、ある意味で好印象でした。
そして二人が再び共演したドラマ「コントが始まる」は、この数年の中でもベストなドラマです。

5位:シャン・チー/テン・リングスの伝説(監督/デスティン・ダニエル・クレットン 脚本/デヴィッド・キャラハム)


○マーベル・スタジオの新時代の幕開けを担う、新たなヒーローが誕生。悪に染まった父から授かった最強の力を封印し、二度と戦わないと誓った優しすぎる男、シャン・チー。父が伝説の腕輪《テン・リングス》を操り世界を脅かす時、シャン・チーは自らの力を解放し、宿命の敵となった父に立ち向かえるのか?自らの運命に葛藤しながらも過去と向き合い、運命を受け入れ、“本当の強さ”に目覚めていくシャン・チーを描いたドラマチック・アクション・エンターテイメント。
○様々な不安要素があった本作だったが、蓋を開けてみれば、かなりの良作。さすがマーベル、さすがファイギとしか言いようがない。これまでのマーベル映画になかった要素のてんこ盛り。前半の肉弾戦・カンフーパートは、巨大怪獣や宇宙生命体との戦いがメインになった食傷気味のシリーズへのアンサーに思えるし(ブラックウィドウよりはるかに良質なアクションだったと思う)、後半の中国舞台の竜や怪獣やらが登場してくる流れは、マーベルのお家芸とも言えて観客のエンタメ欲を満たす。主役のシム・リウはアクションの逸材でしょう。トニー・レオンも、ギリギリ悪とも善とも取れる演技は見応えがあった。オークワフィナの存在に必然性はないが、彼女の存在が作品を明るいテイストに押し上げている。もちろん説明役としても重要な立ち位置で、彼女がいなければ家族は一切会話をしないだろう(笑)

6位:竜とそばかすの姫(監督/細田守 脚本/細田守 原作/細田守)


○50億人がすれ違う美しくも残酷な仮想世界。ベルの歌声は世界を変える——自然豊かな高知の村に住む17歳の女子高校生・すずは、幼い頃に母を事故で亡くし、父と二人暮らし。母と一緒に歌うことが何よりも大好きだったすずは、その死をきっかけに歌うことができなくなっていた。曲を作ることだけが生きる糧となっていたある日、親友に誘われ、全世界で50億人以上が集うインターネット上の仮想世界<U(ユー)>に参加することに。<U>では、「As(アズ)」と呼ばれる自分の分身を作り、まったく別の人生を生きることができる。歌えないはずのすずだったが、「ベル」と名付けたAsとしては自然と歌うことができた。ベルの歌は瞬く間に話題となり、歌姫として世界中の人気者になっていく。数億のAsが集うベルの大規模コンサートの日。突如、轟音とともにベルの前に現れたのは、「竜」と呼ばれる謎の存在だった。乱暴で傲慢な竜によりコンサートは無茶苦茶に。そんな竜が抱える大きな傷の秘密を知りたいと近づくベル。一方、竜もまた、ベルの優しい歌声に少しずつ心を開いていく。やがて世界中で巻き起こる、竜の正体探し(アンベイル)。<U>の秩序を乱すものとして、正義を名乗るAsたちは竜を執拗に追いかけ始める。<U>と現実世界の双方で誹謗中傷があふれ、竜を二つの世界から排除しようという動きが加速する中、ベルは竜を探し出しその心を救いたいと願うが——。現実世界の片隅に生きるすずの声は、たった一人の「誰か」に届くのか。二つの世界がひとつになる時、奇跡が生まれる。もうひとつの現実。もうひとりの自分。もう、ひとりじゃない。
○細田守作品屈指の映像美と、「この人以外考えられない」中村佳穂の歌唱力。この2つだけで100点が取れている一作です。
「サマーウォーズ」に比べて、最後のメンバー集結の必然性がより無かったり、虐待を受けている子どもたちへの接し方のぜひはあると思う。だが、動かなければ何も解決しないというメッセージにも取れる。観客に突きつける何かがある。

7位:靴ひも(監督:ダニエレ・ルケッティ 脚本:ダニエレ・ルケッティ)


○名匠ルケッティ(『ローマ法王になる日まで』『ワン・モア・ライフ!』)の最新作は、いびつな関係だが愛と絆によってつなぎとめられる家族の物語。ナポリ、1980年代初頭。息子と娘を持つ夫婦の平穏な暮らしは、夫が浮気を告白したことで終わりを告げる。夫は家を出て、残された妻と子供たちは不在の夫の影に翻弄される。夫婦役のロルヴァケルとロ・カーショに加えて、L・モランテ、S・オルランド、G・メッゾジョルノら豪華キャストが出演。
○イタリア映画祭2021(オンライン)にて鑑賞。原作は新潮クレスト・ブックスより刊行の『靴ひも』(ドメニコ・スタルノーネ著、関口英子訳)。この原作が抜群に面白いです。ミステリではないですが、最終盤にアッと驚く展開が待ち受けています。このどんでん返しがとても気持ちいい。超おすすめです。
原作は複雑な視点構成のため、映像化は不向きな気もしましたが、さすがルケッティ、映像ならではの工夫により軽やかに表現してみせました。やはり飛び降りシーンは映像の方がヒヤッとしました。

8位:アナザーラウンド(監督/トマス・ヴィンターベア 脚本/トビアス・リンホルム トマス・ヴィンターベア)


○冴えない高校教師マーティンとその同僚3人は、ノルウェー人哲学者の「血中アルコール濃度を一定に保つと仕事の効率が良くなり想像力がみなぎる」という理論を証明するため実験をすることに。朝から酒を飲み続け常に酔った状態を保つと、授業も楽しくなり、生き生きとする。だが、すべての行動には結果が伴うのだったー。
○ポリコレ全盛の時代に、マッツ×トマス・ヴァインダーベアのコンビがやってくれた。昨今、デンマークの飲酒文化(法律的には何歳から飲んでも罰せられない)に対しても世論の圧力がかかっているらしいが、この映画では飲酒を肯定的に描く。もちろん依存症はだめ。周囲に迷惑をかけるのもだめ。そんなことは重々承知の上。この映画に対して「お酒のリスクを描いていないじゃないか」「結局お酒飲みすぎても罰せられないのか?」という意見は的外れだと思う。飲酒を一つの歴史ある文化として捉え、そこで巻き起こる人間の悲哀や幸福を表現している。ブラザーフッドものとしても秀逸。主人公の妻とのエピソードが蛇足な気もしたが、あれがないと主人公に悩みがないから仕方がない。

9位:犬部!(監督/篠原哲雄 脚本/山田あかね)

感想を書いたのですが消えてしまった…。

10位:ザ・ホワイトタイガー(監督/ラミン・バーラニ 脚本/ラミン・バーラニ)


○この貧困から何としてでも抜け出したい。そんな野心を胸に裕福な一家の運転手となった男は、持ち前のずる賢さで成功を目指すが…。ベストセラー小説の映画化。
○先の読め無い展開、うまかったです。前半の「貧乏から抜け出すわらしべ長者物語」から一転、後半はサスペンス調になります。どのような方法で主人公はカーストを抜け出すのか、一見の価値ありです。

11位:ノマドランド(監督/クロエ・ジャオ 脚本/クロエ・ジャオ)


○リーマンショック後、企業の倒産とともに、長年住み慣れたネバダ州の企業城下町の住処を失った60代女性ファーン(フランシス・マクドーマンド)。彼女の選択は、キャンピングカーに全ての思い出を詰め込んで、車上生活者、“現代のノマド(遊牧民)”として、過酷な季節労働の現場を渡り歩くことだった。その日その日を懸命に乗り越えながら、往く先々で出会うノマドたちとの心の交流とともに、誇りを持った彼女の自由な旅は続いていく。大きな反響を生んだ原作ノンフィクションをもとに、そこで描かれる実在のノマドたちとともに見つめる今を生きる希望を、広大な西部の自然の中で探し求めるロードムービー。
○フランシス・マクドーマンドだからこそ成り立った作品なのは間違いないです。冒頭の座りションの場面から覚悟を感じさせますが、キャンピングカー内での大便の様子は、生々しくて臭気を感じるほどでした。アメリカ西部の雄大な自然を、クロエ・ジャオ印の自然光で撮影。圧巻です。

12位:すくってごらん(監督/真壁幸紀 脚本/土城温美)


○大手メガバンクのエリート銀行マン・香芝誠は、些細な出来事がきっかけで左遷され、荒んだ気持ちを抱えて東京本社から片田舎の町へやってきた。そこで偶然かつ運命的に、金魚すくいの店を営む美女・吉乃と出会い、一目ぼれをする。持ち前のネガティブな性格と左遷のショックから、香芝は心を閉ざし仕事だけを生きがいにしようと心に決めながらも、吉乃の事が頭から離れない。何とかお近づきになろうとするが、秘密を抱える吉乃の心もまた閉ざされたままだった。果たして、香芝は金魚のように彼女の心もすくうことはできるのか―?
○今年もっとも驚いた、フレッシュな一作。日本のミュージカル映画のレベルを一つ押し上げた快作です。日本ではミュージカルはなかなか根付きませんが、扉が開いたかも? 尾上松也の歌唱力やリズム感が素晴らしく、彼でないと成立しなかったのでは。英語のラップシーンが愉快。ストーリーまでは流石に手が回らなかったのかもしれませんが、歌唱部分だけで100点です。柿澤勇人のピアノシーンが白眉。

13位:すばらしき世界(監督/西川美和 脚/本西川美和 原作/佐木隆三)


○下町の片隅で暮らす三上(役所広司)は、見た目は強面でカッと頭に血がのぼりやすいが、まっすぐで優しく、困っている人を放っておけない男。しかし彼は、人生の大半を刑務所で過ごしてきた元殺人犯だった。社会のレールから外れながらも、何とかまっとうに生きようと悪戦苦闘する三上に、若手テレビマンの津乃田(仲野太賀)と吉澤(長澤まさみ)が番組のネタにしようとすり寄ってくる。やがて三上の壮絶な過去と現在の姿を追ううちに、津乃田は思いもよらないものを目撃していく……。
○役所広司は、確実に今の日本俳優界のトップでしょう。海外の知名度は渡辺謙や真田広之のほうがあるでしょうが、演技力だけでいえば、間違いなく役所広司が一番です。そして本作でもうひとり輝いているのが、飛ぶ鳥を落とす勢いの仲野太賀。西川美和監督のエッセイ『スクリーンが待っている』を読んでください。詳しくは言えませんが、ある章で雷に打たれるはずです。仲野太賀の佇まいは、他の役者にはありません。特にこたつのシーンでの表情が素晴らしかったです。「コントが始まる」でも、群を抜いて目立っていました。どこまで伸びるのか注目です。

14位:プロミシング・ヤング・ウーマン(監督/エメラルド・フェンネル 脚本/エメラルド・フェンネル)


○キャシー(キャリー・マリガン)は【明るい未来が約束された若い女性(プロミシング・ヤング・ウーマン)】だと誰もが信じて疑わなかった。ある不可解な事件によって不意にその有望な前途を奪われるまでは。平凡な生活を送っているかに見えるキャシーだったが、実はとてつもなく頭がキレて、クレバーで、皆の知らない“もうひとつの顔”を持っていた。夜ごと出掛ける彼女の謎の行動の、その裏には果たして一体何が――?
○アカデミー賞脚本賞受賞ということだけあって、話の筋が面白いです。エンターテイメントとしても、隆盛を極めるフェミニズム映画としても評価のできる一作。男性を断罪するだけではないバランス感覚、そして「主人公が勝つ」では終わらせないーー現実世界に即したようなーーラストが秀逸です。冒頭、ダンスクラブで踊る男性の股間部分をじっくりと、舐め回すようにカメラで追いかける。チノパンから匂い立つ男性フェロモンの、その、あまりの気持ち悪さ、罪の深さ。最高のOPでした。

15位:BLUE/ブルー(監督/吉田恵輔 脚本/吉田恵輔)


○誰よりもボクシングを愛する瓜田は、どれだけ努力しても負け続き。一方、ライバルで後輩の小川は抜群の才能とセンスで日本チャンピオン目前、瓜田の幼馴染の千佳とも結婚を控えていた。千佳は瓜田にとって初恋の人であり、この世界へ導いてくれた人。強さも、恋も、瓜田が欲しい物は全部小川に奪われた。それでも瓜田はひたむきに努力し夢へ挑戦し続ける。しかし、ある出来事をきっかけに、瓜田は抱え続けてきた想いを二人の前で吐き出し、彼らの関係が変わり始めるー。
○吉田恵輔は、コンスタントに良作を生み続ける、いまの日本映画界を代表する映画監督です。今作はそのテーマから興収的にはかなり厳しかったと推察しますが、内容は面白いです。やはり役者のコントロールがうまい。松山ケンイチも東出昌大も木村文乃も、この人達しかいないでしょ、と思わせるくらいの快演を見せていて、それはひとえに監督のディレクションでしょう。松山ケンイチの人の良さと、その中に隠し持った嫉妬の渦。東出昌大の身勝手さとうちに秘めた熱さ。木村文乃の甲斐甲斐しさと残酷さ。すべてが噛み合っています。ボクシングシーンに全く違和感がなく、とくに東出昌大は本当に強者に見えました。

16位:共謀家族(監督/サム・クワー)


○犯罪映画のトリックを知り尽くした男が、家族を守るため完全犯罪に挑む姿を描いたサスペンス。2013年にマラヤーラム語で制作されたインド映画「Drishyam」をその2年後にヒンディー語でリメイクした「ビジョン」を、中国映画としてリメイクした。幼少時に中国からタイに移住したリー・ウェイジエは、現在はインターネット回線会社を経営しながら、妻や高校生の長女、まだ幼い次女と幸せに暮らしている。信心深く穏やかな人柄の彼は、地域の誰からも好かれていた。ある日、サマーキャンプに出かけた長女ピンピンが、不良高校生のスーチャットに睡眠薬を飲まされて暴行され、その様子を撮影されてしまう。動画をネットに上げると脅されたピンピンは、そのスーチャットと揉み合いになり彼を殺害してしまうが、スーチャットは警察局長の息子だった。映画マニアであるリーは、それまで見てきた映画のトリックを応用して完全なアリバイ作りに着手する。出演は「ドラゴン・ブレイド」のシャオ・ヤン、「チィファの手紙」のタン・ジュオ、「ラストエンペラー」のジョアン・チェン。
○「映画マニアが映画の犯罪ネタを活用して危機を乗り切る!」というキャッチーな紹介ですが、そこまでは振り切っていないです。大体話しの筋や真相は読めますが、見せ方がうまいのか、最後まで緊張感が持続します。仮に娘の復讐が完了したとしても、その心に負った傷は癒えないわけで、見方によっては否定的な意見も多そうです。

17位:ブラック・ウィドウ(監督/ケイト・ショートランド 脚本/ネッド・ベンソンジャック・スカエファー)


○「アベンジャーズ/エンドゲーム」のマーベル・スタジオ最新作。孤独な暗殺者ブラック・ウィドウはなぜ、アベンジャーズになったのか――
ブラック・ウィドウの前に突如現れた“妹”エレーナ。姉妹は、自分たちを暗殺者に育てたスパイ組織レッドルームの秘密を知ったことで命を狙われる。唯一の味方は、かつて組織が生み出した“偽りの家族”だけ。だが、この家族の再会によって、レッドルームの恐るべき陰謀が動きだす!ブラック・ウィドウの作られた過去との戦いが、世界の命運を握る。
○映画館とディズニーパスで二度鑑賞。アクション映画としてはどうしても凡庸な部類に入ると思います。これまでのマーベル映画には、必ず一箇所は「こんな撮り方があるんだ!!」「こんなアクション観たことない」と驚きがあるのですが、今作には一箇所もありませんでした。また、ブラック・ウィドウ自身がスッキリと勝つ場面はほとんどなく、カタルシスがありません。ただ、これは明らかに意図したものです。この映画にはフェミニズム要素が多分に含まれています。社会構造と男性による搾取に打ち勝つ女性たちの連帯が描かれます。アッサリと勝つのはフィクションです。勝ったとしてもボロボロ、それが現実です。マーベル映画という世界一の映画シリーズの中で、果敢に現代的なテーマにトライした快作でしょう。

○1980年代、農業で成功することを夢みる韓国系移民のジェイコブは、アメリカはアーカンソー州の高原に、家族と共に引っ越してきた。荒れた土地とボロボロのトレーラーハウスを見た妻のモニカは、いつまでも心は少年の夫の冒険に危険な匂いを感じるが、しっかり者の長女アンと心臓に病を持つが好奇心旺盛な弟のデビッドは、新しい土地に希望を見つけていく。まもなく毒舌で破天荒な祖母も加わり、デビッドと一風変わった絆を結ぶ。だが、水が干上がり、作物は売れず、追い詰められた一家に、思いもしない事態が立ち上がる──。
○この映画はもう、ユン・ヨジョンの名演でひょいた。あまりにテーマが地味なため、流石に昨年の「パラサイト」の後に続くことは叶いませんでしたが、十分見ごたえのある一作です。やはり火事の場面、そしてラストに「ミナリ」を摘む場面が白眉です。
ーー以下、鑑賞済ーー

新感染半島 ファイナル・ステージ
KCIA 南山の部長たち
ヤクザと家族 The Family
天空の結婚式
藁にもすがる獣たち
ノンストップ
シン・エヴァンゲリオン劇場版
野球少女
ミナリ
YESデー ~ダメって言っちゃダメな日~
トムとジェリー
水を抱く女
ザ・スイッチ
ザ・バッド・ガイズ
21ブリッジ
パーム・スプリングス
騙し絵の牙
グランパ・ウォーズ おじいちゃんと僕の宣戦布告
JUNK HEAD
さよなら地球!スマホを切ったら世界が終わってた
ラスト・クルーズ
アーミー・オブ・ザ・デッド
ファーザー
クワイエット・プレイス 破られた沈黙
ゴジラvsコング
ザ・ファブル 殺さない殺し屋
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孤狼の血LEVEL2
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SNS 症状たちの10日間
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